お刺身食べ過ぎには要注意!?末端冷え性・低体温症について

生薬・漢方

まだお若い方ですが、「手足がものすごく冷えるんです。夏も冬も、ずーっと冷たくて…」という患者さんがいました。

確かに治療をしてもなかなか手足が温まらず、後半やっとぬくもってきましたが、本人曰く「万年冷え性」で、ずっと悩んできたとの事。治療後は足の冷え・ダルさ・違和感もとれて歩きやすくなった、と喜ばれておりました。


その患者さんの治療中に話をよくよく聞いていると、お肉が嫌いで、お魚、とくに刺身ばかり食べているとのこと。お刺身は、毎晩食べるくらい大好きだそうです。

私もお刺身や寿司が大好きなので、いつも食べたくなる気持ちはよく分かります。

では日本人は昔から生魚を食べていたのか?というと実はそうではなく、庶民が刺身などを食べるのようになったのは戦後のことで、150年程前から徐々に一般的になったようです。

それまでにも貴族や漁師が刺身を食べることはあったそうですが、刺身は高級であり庶民には憧れだったんだとか。


東洋医学・薬膳で考えると、海に暮らす魚は強い寒性の食べ物になります。つまり、身体を芯から冷やす働きが強いのです。そのため、お刺身や生魚を食べる時には必ず紫蘇、生姜、わさび、ネギといった身体を温める作用の強い食材が必ず添えられていますね。

また、お刺身に付いてくる大根「つま」には魚の水分を吸収し、大根に含まれているジアスターゼが消化吸収を促進して胃もたれ・胸焼けを防いでくれる効果があります。


末端冷え性の原因としてTVや整骨院等で一般的に言われているのは、

①血流不足②筋肉量の低下③栄養不足④ストレス、などです。

末端冷え性だと寝付きにくいという方が多いのですが、寝付きの悪さに関しては他の原因も考えられます。

筋肉量が減少すると代謝・血流量が下がるのは言うまでもなく、そもそも胃腸の消化吸収作用が弱いとどれだけ栄養価の高いものを食べても筋肉になりません。

一般的な冷え性の原因とされている項目をきちんと考えると〈内臓のはたらき〉をいかに正常化するか、に行くつくはずです。


人間の深部体温は常に一定に保たれるように働いていますが、身体の内部が正常に働かないと当然体温にも異常が出てきます。

〈冷えは万病のもと〉と昔から言われているように、とにかく身体を冷やさないように日常から意識することは大切です。

そして実は末端冷え性よりも怖いのが、低体温症です。

低体温症=深部体温も低い、ということになりますから、身体の免疫力が低下して風邪やあらゆる病気にかかりやすくなります。

さらに体温が35°台だとガン細胞が活発になるという事も研究で分かっています。

体温は人間の視床下部にある体温調節中枢が、成人の場合は平常時に核心部を37°に保つようにサーモスタットの役割を担っています。朝晩で体温は1°近く違うので日内変動は多少ありますが、恒常性を保つように働く重要な部分です。

もちろん「子供の時から低体温症だった」という方も結構多く、体温に個人差があるのは事実ですが、免疫の部分で考えると深部体温が低いのはあまり良い事ではありません。

実は私は子供の時から低体温症で、風邪で高熱が出たりしない限りは、35°台であることが多かったです。

それこそ成人してからもずっと万年冷え性で悩んでいましたが、面白いことに鍼灸学校に入学して鍼灸を実践するようになってから、36°台になる事が増えました。

人間の身体はそれぞれの臓腑が複雑に連携しあって働いていますから、身体の内部に着目して鍼灸治療を行うことで、末端冷え性も徐々に改善していきます。

〜あとがき〜

生魚の食べ過ぎは、食中毒の観点からも気を付けたいです。トップ画像のお刺身の写真、私は美味しくいただいたのですがなんと同じお店で購入した他の方が何名かノロウイルスにかかって嘔吐が続き、苦しんだとのこと。おそらく、ホタテが原因ではないかと言っていました。

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