〈鍼灸治療症例〉原因不明の発熱・胸のモヤモヤ感

鍼灸

龍樹会に毎週来られている、Iさんの症例になります。

主訴:「原因不明の発熱・胸のモヤモヤ感」 

・5月中旬、仕事帰りに西陽を1時間ほど浴びた後に発熱。咳、痰はなく、胸のモヤモヤ感がある。内科で診察を受けたがCOVID-19・インフルエンザ等は陰性、肺レントゲン・血液検査も異常はなく、解熱剤を処方される。

・解熱剤の服薬で高熱はおさまったが、骨蒸潮熱(午後3時以降〜夜間に増悪する、骨の髄から熱を発し蒸されるような熱感のことで、中医学的には陰虚の場合に起きる症状)が毎日出るようになる。

・その後、もう1度病院を受診するも症状の改善は見られず、仕事へ無理して行ったり半休を取らなければならないほど辛い状態で 、6月になっても症状がなかなか改善しない。 


毎週土曜に当院で開催している龍樹会で身体を養っているため「風邪を引いたり体調を崩すことはほとんどない」と話していたIさんだったので、半月以上も体調が悪いというのはこれまで経験が無いそうです。5月上旬もいつも通りで元気な様子だったので、病状が長引いているのが私達も気にかかっていました。

発熱・熱感に関しては、数十年前に経験した痛風発作に似ていたようですが、関節の痛み等は全くなく、発熱と胸のモヤモヤ感がただ続いたとのことです。

驚いたのが、足首の三陰交あたりから吹き出すような猛烈な灼熱感があった点です。まるで、間欠泉が噴出しているようでした。

治療をしていると、熱が私の手にも伝播していくのがよく分かりましたし、院長も帰宅してからも暫く手にチリチリとした熱感が残っていたとのことです。

足首の熱感に相反して、胃に特に強い冷えがあり、尚且つ反応点もありました。

背部の熱も強く、鍼、灸、ローラー鍼、推掌、その他の手技にて治療を行いました。治療後は熱も引き、冷たかった胃の部分に温かさが出てきました。もちろん、ローラー鍼によるセルフケアを毎日かかさず行う事もお伝えしました。


初診日の2日後に再診すると、胸のモヤモヤ感はまだ少しあるものの、骨蒸潮熱もおさまって身体が楽になったと話していました。胸の違和感は、反応が強く出ていた気管支の炎症と考えます。深部の疾病を物語る皮膚の反応を読み取り治療できるのが、〈反応点治療〉の良い点であり、他にはない技術だと思います。

龍樹鍼灸院では、一般的な整体•鍼灸整骨院で行われる強刺激治療とは違い、神経学に基づいた皮膚から身体の内部へアプローチしていく低刺激な治療法を行っています。

また、ご自宅でのセルフケアやローラー鍼の使い方についてもお伝えしています。セルフケアを行うと、より効果が実感しやすくなるのです。

〜あとがき〜

よくよく話を聞いてみると、院長が推察していた通りGW中に遠方の悪方位へ行っていました。決して誰もが「悪方位に行けば必ず剋される」という訳ではありませんが、東洋哲学的には身体の免疫機能が弱っている時は特に作用を受けやすい状態なので注意が必要です。

GW中の連日の遊び疲れもあるかもしれませんが、土気に剋されたという点は否定できないと私も考えます。

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