子宮内膜症は、子宮内膜が本来あるべきところではない場所に発生するものです。
「原因不明」「治らない病気」「薬物療法か手術しかない」と言われていた病気なので、診断されると、とにかく不安でたまりません。
有名人が子宮内膜症と診断され、過去にもたびたびネットニュースで取り上げられていたのを目にしたことがありますが、
一体どんな病気なの?名前は聞いたことあるけど、どんな病気かは分からない。という方は、結構多いと思います。
実は私自身、10代の時に子宮内膜症と診断され、悩まされてきました。もともと生理痛がひどく、学校で動けなくなったり顔色が異常に悪くなるので、これは何かあるのかも?と思って病院へ行って発覚しました。
当時通っていた婦人科の医者には、「この病気は治らないの。ずっと薬を飲まないといけないものなんですよ!」と言われ恐怖でしたし、直接命に関わる病気ではないものの、奈落の底に突き落とされたような気分でした。
インターネットや実家にあった家庭医学辞典で調べても、原因不明だとか、対症療法しかない、という内容ばかりでとにかく釈然としませんでした。
子宮内膜症は月経を繰り返す度に悪化するとされているため、ピルにより排卵を抑えることで病状の進行や疼痛が緩和できる、とされています。
私は診断時は右・卵巣に3〜4cm程の卵巣チョコレート嚢胞があり、外科手術をするほどの大きさでもなかったので、薬物療法と経過観察となりました。
そのため、当初は薬物療法として低容量ピル・ルナベルを3〜4年間服用し、途中から漢方と併用していました。ピルを服用してからは嚢胞はどんどん小さくなり、消失して今のところ再発はしていません。
そして、私自身が薬に対する抵抗感がもともと強くあったり、薬を飲み続ける生活に嫌気がさしてしまったため、服用をはじめて4年ほど経った頃におもいきって途中で辞めて経過観察することにしました。
チョコレート嚢胞が消失したのは、ピルと漢方の効果かと思われますが、子宮内膜症は、再発が高い病気です。
では、再発をどのように予防したら良いのか?と考えた時に、鍼灸は非常に効果のあるものだと私は考えています。
トップページの「症状別メニュー」の子宮内膜症の項目を更新したので、詳しくはこちらをぜひご覧下さい。→ 子宮内膜症
原因不明とされてきたこの病ですが、あらゆる仮説の中で、「子宮内膜症は免疫異常である」というのが有力説だと思います。つまり、アレルギー反応で子宮内膜症が起こっているのです。
考えてみれば、幼少期のアレルギー反応は酷いものでした。2歳の時からずっと猫と一緒に暮らしていましたが、実は猫アレルギーがあると知ったのは20歳を過ぎてからでした。
常に鼻が詰まっているし、目がかゆかったり白眼がブヨブヨになったりする、何度も中耳炎にもなる。でもそれはよくあることだし仕方ないことなんだ、そんなものなんだ、と思って過ごしていました。耳鼻咽喉科にしょっちゅう通っていましたが、子供の時から薬が嫌いで、飲んだり飲まなかったりしていました。
慢性的なアレルギー症状があったので、子宮内膜症との関連については、なるほど、と思います。
反応点治療は、内臓や感覚器の不調の改善を得意としています。
私は現在も婦人科に定期的に通っていますが、再発はしていません。ローラー鍼はもちろんのこと、鍼、お灸も日頃から自分自身行っているので、その効果もあると思います。
アレルギーも、幼少期に比べたらずいぶん楽になっています。再発防止だけではなく、根本改善にも鍼灸は非常に有効だと考えています。
子宮内膜症
生理痛がひどい、
違和感を感じる、
生理の時にレバー状の塊が出てくる、
性交痛がある…
こんな症状があると、不安にもなります。
鍼灸治療で、できることがあります。
子宮内膜症とは
本来あるべき子宮内腔部分とは違う場所に子宮内膜が発生し、増殖するのが子宮内膜症です。子宮内膜は女性ホルモンの影響で月経周期に合わせて増殖し、妊娠に至らなかった場合は経血として剥がれ落ち、体の外へ排出されます。しかし、その経血がなんらかの原因で腹腔内(体の中の空間)や卵巣に溜まると、周辺組織と癒着をおこします。また、不妊症の原因にもなるとされています。
子宮内膜症は20~30代の女性に発症率が高く、ピークは30~34歳といわれていますが、10代の若年層でもよくみられます。
子宮内膜症の原因
原因は、様々な説がありますが、はっきりしていません。その中でよく耳にするのが「経血逆流説」です。しかし、これは月経のある女性には一般的にみられる現象なので、これが本当の原因であるとすれば、ほとんどの女性が子宮内膜症にかかっている、ということになってしまいます。
子宮内膜症の根本的原因を考える
さまざまな仮説の中で、注目したいのは免疫異常説です。動物実験で、子宮内膜症モデルラットへ抗アレルギー剤を薬を投与したことにより、子宮内膜症が改善した実験例があります。
また、子宮内膜症はTh2型免疫応答が亢進した慢性炎症性疾患であるという研究報告もされています。1)つまり、長らく原因不明とされていた子宮内膜症は、アレルギーと関連しているということになります。
子宮内膜症の一般的治療
子宮内膜症の治療として主に用いてる方法は、月経困難症でも用いられる薬物療法の低用量ピル(ルナベル、ヤーズ)の服用による対症療法、あるいは病変を除去する外科手術です。排出されない古い血液がチョコレートの様な状態でたまり、袋(嚢胞)を形成する卵巣チョコレート嚢胞などで病状が重い場合は、穿刺吸引がされます。
薬をずっと服用すると、もちろん副作用がでてくる場合もあります。外科手術は、その時は改善されても、また再発することもあります。
薬や手術で症状が和らいだとしても、根本的改善とはいえないでしょう。
子宮内膜症の鍼灸治療
アレルギーと関係しているとされるので、まずは内臓の状態をみていきます。特に、免疫に関連わる肝臓、小腸の反応点を確認して、重点的に治療をおこないます。
また、子宮内膜症による症状は、症状別に細かく分けて考えていきます。
レバー状の塊が出てくるのは、経血量が多い時によくみられます。子宮内膜からは、「プラスミン」というたんぱく質溶解酵素が分泌されていて、この作用により経血は子宮内で固まらないようになっています。このプラスミンが血液凝固に関わる「フィブリン」に働きかけるため、経血は本来固まることなく、膣外へ排出されます。しかし、このプラスミンに対して経血量が多いと、処理しきれず固まってしまいます。
月経時の痛みに関しては、下肢、腹部の強い筋緊張が考えられます。生殖器、膀胱の反応にも着目します。また、痛みに大きく関わるのは、プロスタグランジンという物質です。このプロスタグランジンは、子宮内膜に存在し、経血量が増えると多く分泌されるので、当然痛みを感じます。(生理痛・生理不順はこちら)
子宮内膜の増殖には、エストロゲンの働きが過剰になっていることが考えられます。
つまり、ホルモンバランスが崩れているということになります。
ホルモン分泌に影響するのが自律神経系の作用であり、内臓、血管、皮膚など全身に張り巡らされた自律神経系を整えることで、ホルモンの変動が穏やかになります。
子宮内膜症は、炎症性の慢性疾患とされています。炎症を抑えるには、血液やリンパの体液循環を良くすることです。
子宮内膜症は、性活動期にある働き盛りの女性に多くみられます。このような月経困難症は、社会や家庭、経済面にも大きく影響します。QOLを高め、毎日を快適に楽しく過ごせるように、共に歩んでいきましょう。
1)子宮内膜症の発症・進展におけるアレルギー性炎症の意義 東京大学医学部附属病院 教授 大須賀穣
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