夜眠れないのに昼間はとても眠い、
かゆい、疲れやすい。
皮膚の症状は不快感も強くとてもつらいものです。
見た目の変化もあり、精神的にもつらくなるものです。肌が良くなると、毎日の生活も楽しくなります。
鍼灸治療で、楽しく日常生活を過ごせるようにケアしていきましょう。
アトピー性皮膚炎とは
かゆみのある湿疹が、慢性的に良くなったり悪くなったりを繰り返すものです。アトピー性皮膚炎では、皮膚の「バリア機能」(外部からの刺激、乾燥などから体の内部を保護する機能)が低下していることや、皮膚に炎症が見られることが分かっています。
外からアレルゲンなどの刺激が入りやすくなっており、これらが免疫細胞と結びつき、炎症を引き起こします。また、かゆみを感じやすい状態になり、掻くことによりさらにバリア機能が低下するという悪循環に陥ってしまいます。
子供は、身体の関節の内側にできたり、喘息や花粉症のある、あるいは一等親以内に何かしらのアレルギー疾患がある場合が多くみられます。
アトピーの原因
皮膚や粘膜が弱くなり、バリア力が低下して炎症が起こりやすくなっているとされているのがアトピー性皮膚炎です。
皮膚や粘膜が弱くなる原因の一つとして、天然保湿因子であるフィラグリンの発現が弱くなることもあります。また遺伝的に欠損していなくとも、免疫細胞の一つであるTh2優位の炎症反応が生じると、フィラグリンが減少することもわかっています。
近年、急増している疾患であり、大人になってからアトピーを患う方が増えていることを考えると、生まれつきや体質だけのものだけではありません。アレルギーが発端になる場合が多いようです。
アレルギーの原因
「花粉症」を筆頭に年々増えているアレルギーですが、病院での一般的な治療は服薬や注射薬によって行われますが、どれも症状を一時的に抑える対症療法です。
アレルギー症状とは、触れたり、食べたり、吸い込んだりした時に身体に取り込まれた異物を排除するために起こる、免疫反応です。多くのアレルギーは異物に含まれるタンパク質の成分が引き金になります。私たち人間の体は、主にたんぱく質でできているために、自分以外のたんぱく質を排除する仕組みがあるためです。
アレルギー検査をしてアレルゲンを特定し、避けたり体内に取り込まないようにする方法もありますが、免疫機構が活発になってくると、あらゆるものをアレルゲンとして感知するようになり、結果的に排除が必要なアレルゲンが増えていくようです。
アレルゲンが増える原因
私たちの免疫機構には、前述のように自分以外のたんぱく質を排除する仕組みがありますが、異物を取り込みながら共存する仕組みも備えています。腸では元々異物から栄養を吸収するようにできており、また、腸にいる免疫細胞(IgA抗体)が有益な細菌を腸の粘膜層に取り込む仕組みもあります。
その腸では日常多く入ってくる異物に対しては、攻撃しないように制御する細胞(制御性T細胞)があります。この細胞が少ないと、アレルゲンとして感知される物質が増えます。幼い頃に家畜に触れる機会が多かった人に、アレルギーが少ないことも報告されています。現代人の、衛生的で綺麗すぎる環境が、アレルギーを増やしているとも言われています。
つまり、腸の免疫機構がアレルギー反応に大きく関わっています。睡眠不足やストレスで腸の正常な細胞の入れ替わりができなかったり、飽食で腸に消化の不十分なものが腸の粘膜を傷つけたりしても、腸内の免疫機構を乱し、炎症が増すことが考えられます。
腸が荒れると、アレルギーが増えることに加え、栄養の吸収や代謝が劣り、強い皮膚や粘膜が作られにくくなります。皮膚や粘膜のバリア力が不十分では、さらなる炎症も起こりやすくなります。「脳腸相関」と言われているように、腸内環境が、腸内神経叢や脳神経系へも影響を与えます。
また、皮膚の炎症は、頭痛、のぼせ、冷え、不安、などの症状にもつながります。皮膚だけの問題にとどまらず、結果的に全身の不調へとつながります。
龍樹鍼灸院での鍼灸治療
当院では、腸粘膜と皮膚の強化に着目して、治療を行います。
1.内臓の機能を高め、丈夫な粘膜をつくり、免疫機構を落ち着かせる
2.全身性の不調(のぼせ、冷え、不安など)を軽減させる
3.肝臓機能を高め、薬による代謝を助ける
4.湿疹のある患部への施術で、皮膚の修復を助ける
1.反応のある腸へ施術します。皮膚へダメージの少ない優しい鍼灸刺激の積み重ねが、腸の粘膜の強化につながります。前述の免疫を抑制する制御性T細胞が大腸内に多数存在していることから、腸内環境を整えることが、大事な要素と考えています。小腸も、人体最大の免疫器官であることから、免疫の乱れであるアレルギー対策には欠かせません。
2.体には、自分で意識せずに調整される自律神経機能が備わっています。自律神経は、全身の皮膚、血管、臓器とつながり、そこにある感覚受容器からの情報をもとに、呼吸や血圧、消化液分泌、温度調節、腸管の運動の調整などを行なっています。アトピー性皮膚炎は、その皮膚や内臓粘膜に炎症を起こすことから、感覚受容器からの情報が乱れ、全身性の不調へとつながります。その結果、のぼせ、冷え、不眠、不安などといった症状も増えます。それらの症状を増幅する原因に対して、一つ一つ対応し、治療をしていきます。
3.肝臓は体に取り込まれたものの解毒・代謝を担っており、免疫機構に大きく関わります。全身性の疾患のため、腸粘膜にも炎症があることを考えると、食べ物の消化が不十分になり、肝臓での食物の代謝、解毒の負担も増しています。炎症物質の処理や、痒みに関与するヒスタミン分解酵素の生成にも関わっています。薬を使用している場合には、薬の代謝の負担もあります。また、新しい皮膚や粘膜の基となるタンパク質の合成、皮膚粘膜の保持に関与するビタミンAを貯蔵する働きもあり「肝臓」反応点への施術は欠かせません。
4.湿疹は、皮膚の血液・リンパ液の循環が悪い場所に現われます。肘、膝、指、顔まわりといった関節まわりや、皮下にゆとりの少ない部位に多く見られます。背中の湿疹では、湿疹の下に筋肉のコリがよく見られます。このように、湿疹のある部位は他より循環の悪い状態にあるので、皮膚や皮下の筋肉を緩めて環境を良くし、炎症を鎮めるのを助けます。循環が良くなれば、健康で丈夫な皮膚が作られるようになります。
かゆみ対策
アトピー性皮膚炎のかゆみが抑えられることは、大変重要です。「かゆみ」は「掻く」という動作を生み、その結果として「皮膚症状の悪化」を招き、それがまたさらに「かゆみ」を引き起こすという、負のスパイラルへと導きます。それをいかに断ち切るかもポイントです。その対策の一つとして、鍼灸による施術や、ローラー鍼が挙げられます。その物理的刺激が、アトピー特有のかゆみに対しても有効です。
ご家庭でもできる、セルフケア
アトピー症状の改善のために、当院ではご自宅でできるセルフケアも提案しています。毎日休みなく働く身体のために、適切な刺激を毎日プラスすることがとても有効です。手軽にできるお灸(せんねん灸)や、刺さない鍼(ローラー鍼)などをご使用いただきます。前述のかゆみ対策としても、重宝します。
アトピー性皮膚炎は、夜ひどくなるかゆみのために眠れなかったり、食べ物や環境の制限も出てきます。何を食べればよいか、何に注意したらよいか、情報も多く、良いと分からなくても選択を迫られる毎日です。
症状でお困りの本人だけでなく、家族も、心と体に負担の大きい生活を過ごしておられることと思います。当院でお勧めするセルフケアは、内臓の機能を高める、かゆみを緩和するものです。患者さんを支えるご家族の方にもしていただけます。患者さんの症状改善に取り組むのはもちろんですが、患者さんを支えるご家族の理解と健康がとても必要だと考えています。「自分が負担をかけている」と感じている患者さんにも、家族のためにもできるのが、セルフケアです。